先生は生徒に知識を与えるだけではない
人は出会いによって大きく生き方が変わる。松下村塾に集まった塾生が吉田松陰という先生に出会って生き方を変えたように、どんなにつまらない先生であっても、生徒に及ぼす影響は大きなものがある。
素晴らしい先生に出会えば、夢と希望を抱いて生きていけるだろうが、つまらない先生に出会えば、苦しみと悲しみに満ちた人生を歩まなければならないこともある。それほど、先生という職業は生徒への影響力が大きい。
先生はそうした自覚がなければなければならないが、ただ安定した仕事だからとか、他にすることがなかったからというだけで先生になっている人もいる。教科書は棒読みでヤル気がなく、生徒への責任感もない。
先生は、先に生きていると書く。先に生きてお手本を示す存在だが、よい手本ばかりではない。僕は、生徒に自信の失敗談を多く話している。それは先に生きてはいるが、うまくいかないことが多く、スキルや知識だけでは生きていけないことを示すため。
学問の多くは人類が蓄えてきた過去の出来事であり、自分の未来を学ぶことができない。知識だけでこの世は生きていけるほど単純ではない。それでも生きていくことの大切さを教えることも先生の役目だと思っている。
学力に秀でている人が偉い訳でなく、学力に関係なく人に優劣はつけられないことも教えてあげる必要がある。決められた範囲で、どれほど暗記して解答できるかを競う学力では解決できないことがこの世界にはたくさんある。