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お金持ちになりたい!

 

貧しい家で産まれた僕は、母親が食べるものもなくて泣いていたり、親戚を頼ってお金の無心をしていたりしている姿を見ていた。米びつの底にある米粒を集めて、お粥にして食べたこともある。畑に捨てている野菜を拾っていっしょに食べたこともある。

 

食べ物を得るためには働く必要があり、母親は軍手やビーズの内職をしていた。幼い僕は、その手伝いをして母親からいろいろ教わった。昔は、母親の実家はお金持ちで豊かな生活を過ごしていたこと。叔父が戦前、渡米していたことなど。

 

貧しい生活からは想像もできないほど豊かな暮らしの話。いつか僕もお金持ちになって母親に豊かな生活を送ってほしいと思っていた。お金があればバラ色の生活ができる。そのために幼い頃は内職のお手伝いをし、小学校低学年からアルバイトを始めた。

 

働いてお金を得るために、仕事を覚え、テキパキとやり終えることが大切だと知る。上司が見に来たときは忙しく振舞い、来ないときはさぼるせこい考えも覚えた。上役にこびへつらい印象を良くすることも覚える。浮世の渡り廊下の歩き方を身につける。

 

もっと稼ぎたいと思い、たったひとりで起業して、いろいろやってみる。自分が軽蔑していた貧乏な人から、それじゃダメだよと教えてもらう。軽蔑から尊敬に代わり、自分の愚かさを知る。お金をもっと儲けるには優しさや誠実さが必要なことを知る。

 

誰かを憎んだり、うらやんだりしている自分がバカに見える。バカにされても笑顔で働く姿を見せることの大切さを知る。社会に出てから実学を身につけることの大切さを知る。優しさの裏には強さがあるってことも知る。

 

人を愛する前に、愛される自分を創ることの大切さを知る。そのたびに支えてくださる人に出会う。その人たちはお金を儲けたいなら、多くの人を愛することを教えてくれた。今、少しは豊かになり、その恩返しができるようになった。

 

 

 

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