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田舎者だとバカにされ、信用されない

 

借金返済のために東京に来て、アパレルメーカーの不良在庫を買い取り、地方の小売店に卸販売する行商を始めた20代の頃、アパレルメーカーのほとんどは相手にしてくれない。どこで仕事をしているのか?和歌山と聞くだけで断られる始末。

 

商品を持ち逃げされるかもしれないし、田舎だと返済の催促をするにも遠すぎる。大手はすべて断られ、マンションメーカーと云われる個人経営のアパレルメーカーに行ってやっと現金決済で商品を手にするようになる。

 

定価の10分の1程度で買い取り、10分の3程度で販売する。1万円の商品なら、小売店は6500円ほどで仕入れているが、僕からなら3000円程度で仕入れられる。半額の5000円で売っても儲かる。僕も2000円ほど儲かる。

 

ただ、多額の返済を抱えていたので資金繰りは厳しく、いつも自転車操業だった。アパレルをしている人は洋服が大好きでお洒落な人ばかり。その中で、僕だけが粗末な服を着ていた。「あなた、田舎者だね」と蔑まれることもあった。

 

それでも、僕の味方をして苦しいときに数百万円もの商品を信用貸ししてくださるメーカーもいた。「君はどこか憎めないから、助けたくなってしまう。不思議な魅力を感じる。」と、そこの社長さんが言ってくれた。

 

お金に困っているとき、バカにしている人、遠ざかる人は多かったが、一文の得にもならないのに僕を支えてくださる人もいた。そんな人のご厚意に応えるために僕は売り歩いた。月に400万円以上も売ったこともある。

 

どんなにバカにされても、もがいて努力していれば、救いの手を差し伸べてくださる人がいるものだ。信用されなくても、信用されるように努力していれば認めてくださる人がいる。あのとき、助けて良かったと言っていただける人に僕はなったのだろうか。

 

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