怒りの感情を理性で抑え、悲しい感情を笑顔で包み、いじけた気持ちを希望で隠す
幼いころから貧乏だった僕は、お金持ちになりたいと思っていた。中学や高校を卒業したら、それこそ就職して母親に楽をさせようと思っていた。祖父が工務店を経営していたので、相談に行った。祖父は、おまえに後を継がせる気はないと言った。
何しろ、僕の両親は祖父から勘当されたし、僕はその原因となった孫になる。祖母はかなり怒っていたらしい。祖父には子供が7人いて、長男には男の子供もいる。そんな理由で、僕には工務店で働かせる気はないと説明してくれた。
ただ、お金持ちになるなら会社を興して社長になるのが一番だと教えてくれた。社長に一番求められるのは人柄で、それができなければ会社を興しても損をするだけだ。大学に行ってしっかり勉強して知識を身につけて人柄を磨けとアドバイスしてくれた。
怒りの感情を理性で抑え、悲しい感情を笑顔で包み、いじけた気持ちを希望で隠す。そうした気分転換をするのはかなり難しいが、できなければ貧乏な僕はお金持ちになれないと思って挑戦した。中年になるころには自然とできるようになった。
怒りや悲しみは自分の期待が外れたことが原因なので、その原因を突き止めれば反省点が見つかる。いじけていても自分が腐るだけだと思いつけば、いじけている時間がもったいないと思える。なんてことはない、思考を変えるだけの事だった。
誰かが食事を用意してくださり、家事一切をやってくだされば腐って部屋に閉じこもっていられるし、心配してくださる人に八つ当たりすることもできる。でも、そうした人がいなければ腐っていると餓死するしかない。