花の都 東京
田舎で産まれ、田舎で育ち、田舎で青年になった若者が憧れるのが花の都 東京だった。田舎者が田舎に錦を飾るのは都会で成功することで、都会にはチャンスがいっぱいあると大人が言っていた。白黒テレビや新聞で見るもの聞くものの多くが東京の話だった。
高校まで田舎にいた僕は、大学は大阪にし、社会人となってからは東京に出ていった。東京にはあらゆるジャンルで成功を夢見る若者がうごめいていた。何をすれば成功するのか?何をすれば失敗するのか?たくさんの事例を実際に見ることができた。
田舎では農家の方、漁師の方、職人の方に出会っても、起業家や大企業のサラリーマンに会うことはほとんどない。話は自然と田舎の事になるが、東京では世界中の話を聞くことができた。20代で多額の借金を抱えた僕に、チャンスが転がっていると思えた。
自分でオリジナルのビジネスモデルを考え、少しずつ協力してくださる方を見つけ、実行してビジネスを軌道にのせるようになった。少し儲かるようになると自慢する人が多かったが、彼らはすぐにビジネスでつまずいて破産していった。
僕は返済に追われていたので自慢することなく質素な生活を余儀なくされていた。半世紀前の話だが、今でも東京はチャンスに溢れている。下剋上の都会だからこそ自分の実力を試すには面白い場所だと思う。向上心を持ってスキルを身につければチャンスはある。