技術は一流、デザインは二流
日本の時計技術は超一流で世界の誰もが認める高性能ムーブメントだが、販売額ではアナログ式のスイス製に大きな差を付けられている。お客様は、高性能だけでは購入しない。すぐに壊れて使い物にならない時代ではなくなった今、気に入った商品は性能よりもデザインが重視される。技術が重視されるあまり、デザイナーが二の次になっている気がする。
日本の生地は世界一高級で、下着やGパンなど洋服の生地は日本製が世界最高品質を保っている。しかし、世界に通用する日本ブランドの超高級品はなく、海外ブランドの洋服に日本製の生地が使われているだけ。ハイブリッドなど日本の車の技術は世界一高度だが、世界一の超高級ブランド車となると日本製はなく、部品に日本製が使われているだけになる。
モノつくりが工場で行われて、個人がコツコツする時代では、大量生産、大量消費なので、個性的なモノや超高級ブランドは育たない。欧米では、個人がコツコツモノつくりに励み、その商品を購入する文化がある。ハンドクラフター(手工芸職人)や個人のエンジニアが手間暇かけて制作したものに価値を見出して、それに見合う代金を支払う仕組みができている。
日本でも、こうした動きが出始めており、大企業を抜け出して個人で手間暇かけて制作したモノを、ネットを通じて販売するようになった。驚くべきは、日本の最高レベルの技術を使ってデザイン性に優れたモノを作っていること。扇風機、腕時計、車、食器、文具、洋服など多岐にわたって大量生産ではない個性あふれるモノをネット使って製造販売している。
明治初期、日本の職人が自分たちの技術を活かして、欧米の家具や食器を制作販売して一世を風靡したように、もっとたくさんの日本人が、個性を発揮してデザイン性に優れたモノを世界一の技術で製作販売して欲しい。世界中の人を唸らせる素晴らしい技術と技能を持っているし、世界中の人が欲しがる素材もある。ネットを使って中小零細企業が世界中の人をアッと驚かせる面白い時代。