社長 それをやっちゃいかんでしょ!その壱拾
会社が大きくなると、直接の仕事より管理の仕事や接待や業者との面会なども増えて出張などの日程を管理する秘書が欲しくなる。社内で一番の美人女性を秘書にするのは常套手段で誰も文句をはさまない。綺麗で若い女性がいつも傍にいて、身の回りのことを手配してくださることは、とても嬉しいこと。有頂天になり、秘書に恋してもおかしくはない。
秘書に恋心を持つようになると、気に入られるようにカッコつけになっていく。服装はもちろんブランド品になり、打ち合わせは高級レストランでの食事時になるし、宿泊するホテルも高級ホテルになり、移動手段も高級自家用車になる。二人になりたいので、社長が車を運転して、秘書は隣に座っている。出張の車中では、秘書のカバンを社長が持っている。誰が見てもおかしな関係。
秘書も、ミニスカートで胸がパックリ空いたブラウスになり、どうみても仕事をしているようにみえない。社長さんにも甘えた声でささやくので、傍にいる人は、気が付かないふりをするのに精いっぱい。社員は、そんな二人から指示が出されるのでヤル気がない。イチャツイテいるのはプライベートな時間にしてほしいが、仕事中にそれをやっちゃいかんでしょ!と言いたくなる。
僕は、スマートフォンが秘書替わりで、音声入力で行先検索ができるし、宿泊予約もできるし、移動手段の予約もできる。日程の管理もスマートフォンに入力すると僕のパソコンやタブレットにも表示される。連絡も、原稿書きも、移動中、新聞を読むことも、音楽を聴くことも、動画でニュースを観ることも、株価などの投資のチェックもスマートフォンで済ますことができる。
僕は、質素倹約がモットーでダンディなオシャレもしないので女性にモテない。ドイツ製の高級車にも乗らないし、欧米の高級ブランドを身に着けて、全身飾っているわけでもない。僕のカバンを持たせても僕は美人秘書の鞄を持たないし、日程を決めても取りこぼしがあれば嫌なので、自分で予約してしまう。何より、美人秘書がいれば目移りして仕事ができない。