雇用を守るのが経営の基本
起業したころはパート社員と二人だったが、数年で社員は300人を超える。順風満帆で順調に事業を拡大していった。ところが任せていた直営事業部が目を疑うほどの大赤字を出していた。担当幹部社員が必死になるほど赤字は膨らんでいった。最後は、社長に任される。
現場を初めてひとりで巡回し、ヤル気のある社員や反抗的な社員、ヤル気のない社員や質問責めにする社員などに出会う。半年で原因を調べて改善プランを立て実行する。社内の反感を一身に引き受けて2年で黒字にする。ストレスから胃潰瘍になり入院することもあった。
この時の反省から社長の仕事は社員の雇用を守り生活できる給与を保証しなければならないと思った。ひとりの社員もリストラしない経営をするために、しっかり社内に資金を蓄え、ビジネスモデルを文章化(マニュアル)して誰にも経営がわかるようにした。
社長の指示に従っていると部下をだまして動かしていた幹部社員もいたので、社長の考えはメールで毎日送るようにした。管理職に任されていた昇給は、社長に一任し分け隔てなく皆が昇給できるようにした。スタッフの意見は誰でも直接社長に話せるようにした。
会社が大きくなると、社長個人で運営できるものではない。従業員全員の総力で運営されるようになる。個々の従業員を大切にして働きやすい環境を創ってこそ収益も拡大するが、従業員を搾取して儲けを出すようなら、反感を買って儲けは長く続かない。
成功は社員の成果、失敗は社長の責任だと割り切って従業員が失敗を恐れず働ける環境を創り出す。社長は感情的にならず、できるだけ自由に現場の従業員を働かせ、彼らのやっていること認め褒めてヤル気を出し、失敗してもそれを乗り越えるよう笑顔で激励する度量が必要。