その数字の根拠は何かを知る
ある企業様では、毎年集客のために新聞折り込みチラシを入れる。20店舗以上展開しているお店なので、各店舗6万枚を一回の販促費として計上している。10年以上、こうしたやり方で販促しているが現場は何の疑問も持っていない。過去の踏襲で、先輩がやってきたことをやっているだけのこと。
起業家は、店舗運営して販促するとき、新聞の取次店に伺って地図上に色鉛筆で各紙の配布数とエリアを塗っていく。それぞれの取次店で担当しているエリアが違うので、自分が商圏だと思っているエリアに的を絞って新聞折り込みチラシの枚数を数えると、百の単位まで決まってくる。
つまり、20店舗が横並びで6万枚などということはありえず、A店舗は45,600枚、B店舗は62,100枚などといった数字になってくる。更に、集客できるエリアもお客様の住所がわかれば絞り込むことができるので、もっと枚数を少なくすることができる。自分のお金で仕事をすれば、そこまでキチンと把握する。
自己資金で新聞折り込み広告を入れる意識があれば、売上や使える資金を考慮して枚数を決定しているだろうが、会社が負担しているとなると売上に関係なく横並びになる。こうした考えで売上を上げ、自分の評価を高めて昇給につなげるということはありえない。仕事のできる人でなければ、昇給はおぼつかないのが現実。
僕の住んでいる街は6,500世帯で、半径2㎞に的を絞ると2,700世帯、新聞折り込みチラシは1回につき2,700枚で3ヶ月に一度、同じチラシを立て続けに3回入れるよりも、毎月地区の話題を盛り込んだチラシを1回入れる方が集客できた。こうした視点を持っている経営者は伸びていくが、何の疑問も持たないでやっている経営者は廃れていった。
がむしゃらに頑張っていれば何とかなるという商売はない。前例に準じてやっていれば何とかなるという商売もない。過去の成功事例にこだわっていて儲かる商売もない。チラシ一枚についても、その内容は時代にあっているのか、レイアウトやデザインは魅力的なのか、住所や電話番号や地図は見やすいかなど検証すべきことはたくさんある。