創業者がいなくなれば
1945年、日本は敗戦、その翌年の1946年の春、二人の創業者によって東京に家電メーカーが設立された。1950年には日本初のテープレコーダーを販売、トランジスタの自社生産に乗り出し、1955年、日本初のトランジスタラジオを発売し大成功した。その後も、世界初の画期的な商品つくりを行っている。
トリニトロンテレビやビデオレコーダー、ウオークマンでは大成功し、世界中にこのメーカーの商品が広がった。世の人たちがアッと驚く優れた商品は、まだこの世にないので市場調査をしてもわからない。創業者の頭の中にしか、その商品イメージはない。創業者の商品開発は大成功し世界のトップ企業にのし上がる。
そんな大成功をおさめた会社だが、創業者がいなくなると業績はフラフラしだす。経営のプロが社長に就くが業績は一向に改善しない。多くの優秀な技術者が商品開発をするがヒット作にはならない。ヒット作は、最新技術にあるのではなく、どんな商品が欲しいのかがイメージできること。
このメーカーの技術者は、商品の性能を上げることや上位機種から下位機種までのラインナップを揃えることに努力していたが、世間の人々が欲しい商品は、そんな高性能な商品ではなく使いやすい商品や画期的なアイデアで、あったらいいなの商品。技術はあるけどアイデアがないメーカーは、ヒット商品を失くして赤字企業に転落していく。
創業者が復帰すれば、商品ラインナップなど否定するだろうし、性能アップなども否定するだろう。どうして自分たちが欲しい商品を考えて作らないのかと叱咤するだろう。これまでの商品の焼き直しではなく、全く新しい発想で製作した世間の人々が欲しがる商品を開発するだろう。それができなければ縮小するしかない。