ビジネスと戦場
戦場での戦闘状態では、仲間が死んでも涙を流して悲しんでいる暇はなく、撃つか撃たれるか、殺すか殺されるかの状態なので、このまま戦闘を続けるのか、それとも撤退するのかの判断は、兵を率いている者がしなければならない。戦場に行った人がさっきまで一緒にいた兵隊の死にあっても驚かないし涙も出ないと話している。
戦闘状態では、平常心を失くした者は撃たれて死ぬ確率が高く、如何なる戦闘状態でも冷静に判断して行動する者に生き残るチャンスが広がる。隣の兵士が頭を撃ち抜かれて死んで狼狽し、あわててタコツボから立ち上がった瞬間に撃たれて死ぬ。こうした状況に慣れてくると感情そのものを失くしていく。
ビジネスの世界でも、企業のトップに立てば同じように行動しなければならないことがある。会社内の誰かが死ねば、涙を流して悲しむ人は多くいる。しかし、経営者は皆と同じように悲しむ暇はなく、その後の仕事を誰が引継ぎ、どのように人事異動しなければならないか即座に考えて行動しなければならない。
経営者である自分には人間らしい感情はないのかと思うが、経営者は会社と従業員とお客様を守らねばならない。もっとも信頼し、もっとも一緒に働き、喜びも悲しみも共にしてきた仲間であっても、死ねば彼がやってきた仕事を誰が引継ぎ、スタッフとお客様をどのように守るのか?考えている姿は戦闘状態の指揮官と同じこと。