わかるとできる物語 第5章 3 何をするから管理職?
直営事業部を任された中間管理職は、部長にすべての権限が集中しているが、それはあくまでも社長の信任を得ているからであって、その期待に応えることを優先しなければならないが、仕事のできない中間管理職は、部下をまとめることができないので、自分勝手な考えを社長の指示だと言うようになる。上司は、いつも自分の言葉に置き換えて指示しなければ部下の信頼も上司の信頼も得られない。
本社の初代直営事業部長は現場の仕事を知らず、教材の視聴もせず、遅刻の常習で、思いついた自分の考えを根回しすることなく、突然、業務命令として話し出すものだから、社長の僕は知らないし、部下は寝耳に水。現場は混乱するが「社長の命令だからしかたがないだろう!」と強引に話せば、誰もが社長の僕を恨んでいくし、「社長は~さんとできている」などと発言すれば部長の信頼はなくなる。
中間管理職は、その言葉使いや態度に細心の注意を払わなければならないが、それがわからない。部下と一緒に飲食をするときに馴れ馴れしい態度を取ってみたり、上から目線で話したりしても感情的になっても部下の信頼を得ることができない。役職を頂いたならば、最初にするべきは部下の心をしっかりつかむこと。そのためには、自分をしっかり鍛え、リーダーたるべき態度をとること。
仕事ができても部下の掌握ができないで業績を落としてしまう管理職は多い。部下を自分の家族だと思って、何があっても守ってやろうと決意する。彼らの心根を知るために彼らの言葉をたくさん聞くようにする。どんな人生を歩んできたのか、それを聞くために自分の人生の失敗談を語る。上司には部下を褒めて報告し、決して部下をけなさないし部下に泣き言を言わないで夢を語る。
役職が付くと、仕事の指示をしなければならないが、その指示を出す前に部下の信頼を得るように動かなければならない。上司が部下を評価して仕事をさせるのではなく、部下が上司を評価して仕事をしている。部下の出来が悪いと話すときは、同じことが部下からもその上司に対して話されている。双方が感情的であれば、喧嘩両成敗になり、我慢して熱心に仕事をしている社員がいれば彼が勝ち残る。
嫌味な態度、威圧的な態度を取る上司がいても、感情的にならず我慢していれば、その態度は社長の目に留まるようになる。上司が部下を守れないで、部下を卑下する態度は必ず言葉や態度になって社長の目に留まる。このとき、社長は我慢し抜いて仕事ができる者を評価し、感情的になった者は仕事ができても管理職から外す。平常心は管理職の基本中の基本となる資質となるからだ。
その反対に、部下が仕事のできる上司をなめてかかる場合もある。言うことを聞かず、指示されたことはやらない。反抗的な態度が目につくようになれば、それは社長のもとに報告され、判断を仰ぐようになり、反省の色が観られない場合は解雇しなければ、仕事ができる社員であっても組織の癌となってしまう。仕事ができる部下でも反抗的な態度は、上司になっても変わらないので部下はついてこない。
部下の信頼を得るために、深夜遅くまで仕事をして部下の失敗をフォローする。部下の質問に答えるために、教材の視聴や教室運営のノウハウで知らないことがないようにする。部下に困ったことがあると、サッとかぎつけ笑顔でさりげなくフォローする。馴れ馴れしい態度をせず、感情的に指示することもなく、信頼される上司の態度を心がければ、部下は命がけでついてくる。
また、上司に対する態度も注意が必要で、新しい携帯電話が支給される場合、部下には新しい携帯電話を尋ねることなく支給する。上司に支給しようかと迷い「新しい携帯電話は欲しいですか?」と聞けば、仕事のできる上司は、必ず断る。上司は、君の認識は支給するのは部下だけなのかと?腹を立てるか、上司に対する言葉使いが「欲しいですか?」だと、失礼な奴だと腹を立て上司のプライドを傷つけてしまう。
「新しい携帯電話を支給しましょうか?」と聞いても、仕事のできる上司は部下の質問には断りを入れるものだ。それは、自分よりも部下を優先する態度で彼らの信頼を得て頑張ってきたからに他ならない。このとき、支給品、飲食代、出張費などルールで決められているモノは、上司が断っても支給すべきで尋ねる必要はなく「新しい携帯電話を支給します。」と言うだけで済ますと双方にとって支障がない。