わかるとできる物語 第5章 4 創業者は引退できない
「創業者は引退できない」この考えは、日本を代表する起業家、ソフトバンクの孫社長、日本電産の永守社長、ユニクロの柳井社長も述べている。創業者は、何もないところから、ビジネスモデルを創造し、多くの人々に貢献できると確信し、如何なる困難があってもやり続ける人だけが生き残る。知力、体力、ハート、あらゆる面でふるいにかけられて生き残ったタフな者だけが大企業の創業者。
中小企業白書によると、起業して10年後は30%が廃業または倒産し、20年後は50%が廃業または倒産している。しかも、起業した方の40%が赤字企業で年収は雇用者の平均年収の半分程度しかない。何十万人もの起業家の中から生き残ってきたカリスマ中のカリスマが日本一の業績を出している。彼らは、自分の贅沢よりも会社を大きくすることに興味を示している。
僕は、「わかるとできる」パソコン教室のビジネスモデルを考え、これで日本中の人々にITスキルを低料金でキチンとお教えし、21世紀のデジタル革命に乗り遅れないようにできると思って起業した。必ず、日本中に「わかるとできる」パソコン教室を創り、広く国民の皆さんが頼れる教室を創り、少しでも困ったことがあれば、相談できる身近な教室として社会に貢献しようと思った。
会社が拡大基調になると、加盟される方も自社の社員も増えてきたが、贅沢が好きな人は少し儲かると贅沢に走るし、身勝手な社員は役職に就くと感情的な態度が目立つようになる。それはまるで人の欲望がむき出しになるのを観ているようだった。抑圧された人が、その抑圧から解放されると、みずからの欲望のままに行動する。それを抑えることができるのは創業者だけなのだ。
いつ、いかなる場合でも、会社の未来を見据えて夢を語り、みずからは皆の希望となって行動できる創業者だけが、みずからの会社を大きくできる。強烈なタフさを持ち、周りの人たちがどんなに悲観しても、会社の未来は明るいと堂々と胸を張って夢を語る楽天家だけが生き残る。会長職になって社長を支えるのではなく、社長として現場で倒れて死ぬ覚悟がなければ会社は大きくできない。
戦国時代さながらに、織田信長は、その性格ゆえに部下の不信を買い天下人には成れず、豊臣秀吉、は一代限りで天下人の世襲はできなかった。天下を収めるには、天下人に成るべき人が成り上がっていく。会社も同じことで、伸びてくる会社は社長がいつも夢を語り愚痴を言わないし、他人を非難中傷しない。目指すは天下であり、その目的に向かって真っすぐに真正面から正々堂々と疾走する。人生80年、チマチマしたことにかまっているには短すぎる。