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わかるとできる物語 第5章 2 社長の態度で業績は決まる

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儲けという漢字は、人を信じる者と書くと聞いたことがある。信ぴょう性はどうあれ、うまいことを言うものだ。お互いの信頼関係がなくなれば、儲けなど無視した行動に出てしまう。社長は、従業員を信じなくなり、管理職は部下を信じなくなり、部下はお客様を信じなくなり、その逆も起こるようになり、全体にギクシャクした状態になって崩壊していく。

 

赤字の直営教室を巡回している時に、初対面の教室長から「あんたは、本社でパートスタッフを解雇しろと言いましたが、今日、ここに座っているスタッフが解雇しろと言ったスタッフ達です。彼女たちに謝ってください!」と泣きながら突然言われたことがある。初対面の教室スタッフ全員が泣きながら僕を睨みつけているが、僕には初めてのことでさっぱりわからない。

 

本社で彼女に会ったこともなければ、会っていないのでそのように話すこともない。直営教室のジェネラルマネージャーに抜擢した、もとブロック長の吉村さんがいっしょにいたが、彼女にも事の次第がわからない。しかし、僕は一切の言い訳をせずに、その場で彼女たちに深々と頭を下げて謝罪した。いわれなき謝罪だったが、「本当に、すみませんでした」と心を込めて謝罪した。

 

翌日、いっしょにいた吉村ジェネラルマネージャー(現 ありがとう㈱社長)が「あれは、担当部長の言葉で、彼は社長がそう言っているから仕方ないだろう」と話していた。と打ち明けてくれた。そして、どうして社長は、あの場で弁明せず、いわれなき謝罪をしたのですかと不思議そうに尋ねた。僕は、上司たる者、感情で動くようでは、会社は儲からないと話した。

 

教室長に冷静さがなければ、感情的になり、本社で部長から聞いたことが、僕から直接聞いたことになって誇張される。パートスタッフは、事実無根の内容を鵜呑みにして教室長を信じ切っている。あの場をまるく収めて仕事をしようという気持ちになっていただく最善の方法を瞬時に判断したまでと説明してあげた。平常心を失くした者を責めるのは、上に立つ者が取るべき態度ではない。

 

事実無根のことで、教室長の君は感情的になっているが、それで気が済むのかと話せば、あの教室は崩壊する。事実無根だと証明すれば僕の気持ちは晴れる。それよりも、感情的になっている部下の気持ちを静めて、仕事をする気持ちにさせることが必要だと僕は瞬時に判断した。それができない社長なら、ここまで大きな会社にならないさ。

 

会社が急成長していく過程では、こうしたことが頻発する。大企業になるために必要なことは、大企業たるべき態度を誰もが取るようになることで、必ず、この会社を誰もが認める日本一の企業にしてみせるという気持ちと態度こそ社長には求められる。中小企業の社長は、自分を磨くことを忘れて贅沢にうつつを抜かして社員の信頼を得られず成長できない。

 

ビジネスは、社長によって大きく変わる。目先の儲けに目がくらめば、長期に儲けを出せなくなるように行動しても気が付かないし、忠告されると感情的に怒りだす。こうした社長は、贅沢が好きで、法人会の集まりやセミナーが好きで、経営コンサルタントを崇拝している。しかし、社員の信頼は得ておらず、社員ひとりひとりと向き合って対話する姿勢に欠けている。

 

自分の考えだけが正しいと思い込んでいるため、社員の話に耳を傾けず、彼らの意見を受け入れて実行しようとする態度に欠けている。そのため、社員の意見を無視したり、そうした意見が出ると感情的になって怒りだしたりしてしまう。業績が低迷しているのは社員のせいで、社長のせいではないと固く信じているので、社員を否定する言葉が多いが、それでは社員は社長を信じて動いてくださらないので好業績にはなりえない。

 

天は僕を見捨てることなく、加盟校様の萩原社長を中心としてBUNちゃん勉強会が動き出し、不正取り締まりは山口常務が中心となって動き出し、直営教室は吉村ジェネラルマネージャーが憎まれ役を買って出て動き出していた。その後、直営教室は吉村ジェネラルマネージャーが独立起業したが、跡を継いだ者が反抗的になったので3年我慢したが、態度が変わらないので解雇して再生した。

 

人はチョッとしたことで感情的になって人間関係を悪くしてしまう。ギクシャクした人間関係しか築けない人でも、仕事はできる方が多い。こうした場合、この方には管理職から解放して平社員にしたほうが働きやすく、周りとも衝突しない。管理職になるには、上司や部下から慕われるように言動できる人でなければ務まらない。自分の感情に振り回されるようでは、上司は務まらない。

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