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わかるとできる物語 第5章 1 オーナー会の立ち上げ

2014-10-08 14.53.11

本社の中に壁ができ、赤字の事業部を抱えて、本社の再建に取り組んで四面楚歌の状態で、僕が全国を駆け巡っていたとき、好業績を出している加盟校様の中には、本部を自分たちで守らなければBUNちゃん先生が潰れてしまう。万が一、全国的に人気のあるBUNちゃん先生が倒れて講座製作ができなくなれば、自分たちの商品の人気はガタ落ちになる。

 

BUNちゃん先生以外の講師が収録して、映像授業の質が落ちて生徒の方の支持をなくせばビジネスモデルは崩壊することを、独立していった仲間やライバル他社を観て知ったオーナー様は、自主的に集まってお互いの考えを語り合って、「わかるとできる」パソコン教室の本社を守ることこそ、自分たちの儲けを守ることだと認識していった。

 

「わかるとできる」に加盟して、教室運営やスタッフ研修、開校研修、生徒募集、入室説明会など、いっさいをやってくれていたのはBUNちゃん先生で、少しでも困ったときは、いつも加盟校の教室に飛び込んできてくれていた。しかも、その合間を縫うように教材の収録を行って現場の意見を取り入れてくれていた。BUNちゃん先生をなくすことは死活問題。

 

こうして同じ考えに至った仲間が集まるようになり、オーナー会の自主的な組織として本部として認めて欲しいという申し出があった。僕は、この組織に「BUNちゃん勉強会」と命名し、初代会長に萩原社長を任命した。萩原社長といっしょになって積極的に自腹で動いてくださっている高野社長、松岡社長、加古社長には幹事役をお願いした。

 

萩原社長は、かつてお弁当のFC事業を創められて、かなり成功したが、加盟してくださったオーナー様の反抗にあって身体を病んでしまい、FC事業をやめなければならなかったつらい経験をしてきただけに他人事とは思えなかった。今、BUNちゃん先生をなくすことはビジネスモデルの崩壊だということを自身の体験をもとに理解している方だった。

 

4人の方々は、全国をまわり、反抗的なオーナー様に会って深夜まで対話による説得を試みてくださるようになった。反抗的なオーナー様から「おまえなんか来なくてよい!」とバカにされ続けていた上村SV(現 統括部長)は、こうした献身的なオーナー様に励まされて涙した。数人から始まったオーナー会は、その後、徐々に参加される方を増やし、今では1会場で200人近い方が参加するようになった。

 

4人のオーナー様は好業績で、他のオーナー様からの信頼も厚かった。業績が良くても本部に反抗的なオーナー様や勝手に指導料を頂いていたオーナー様からは「本部から幾ばくかの金銭を頂いているのだろう」とあらぬ噂を流されたりしていたが、自分たちの儲けを守ることの本質を見失っていないので、腹を立てても悔しくても非難中傷されても本部を守り抜くという姿勢にぶれはなかった。

 

企業経営者はあくが強く、頑固な方が多い。そうした方と対面でお話しするので、感情がぶつかり合うことも多い。「おまえは、本部のまわし者だ!」と罵られたこともあっただろう。「いくらお金を貰っているのだ!」といわれなき中傷をされたこともあっただろう。もう、こんなこと辞めようと思ったこともあっただろうが萩原社長は対話を欠かさなかった。

 

もっとも厳しい人に会い、もっとも厳しい意見をお聞きして、もっとも辛いことから始めていった。儲からないのは本部のせいだと決めつけていた人にも、徐々に変化がみられるようになり、儲かるようになると萩原社長に感謝するようになるが、彼は本部がいるからだといつも話していた。それは謙虚な態度であったが、本質を見抜いたことでもあった。

 

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