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わかるとできる物語 第3章 5 業績向上に奇策はない

2014-10-23 09.18.20-3

事業部制にしている企業では、事業部長にすべての権限が集中しているので、事業部長は業績向上のために努力することが求められる。部下を叱咤激励すれば業績は向上するだろう、事業計画書を増収増益に書きあげれば業績は向上するだろう。自分の取り巻きに役職を与えれば業績は向上するだろう。人事異動を行えば業績は向上するだろう。このすべてを過去の事業部長は行ったが、すべて失敗に終わった。

 

部下を叱咤激励する前に、そうした言葉が相手に受け入れられるように部長として行動しているのかが問われる。自分の考えを「社長の指示だからしかたがないだろう!」と言っていた部長は、部下の反発した態度に狼狽した。数パーセントの増収増益の事業計画を書いても、毎月の細かい行動計画や販促の戦略や戦術がないので、現場では何をすればよいのかわからない。「あんた、それでも部長なのか!」と言われるようになった。

 

部長のお気に入りの連中を取り立てて、何かしらの役職を与えて仕事をさせるようにしたが、役職の乱発で部下もいなければ、何をするのかも明確でなく、プロジェクトリーダー的なものなのに常態化させようとするので、無駄な仕事を増やすだけになり業績を下げてしまう。仕事ができない、上司に反抗的だと判断すると、本人と直接会って良く話し合い、部下の了解なしに異動や解雇を行って部下の反感を買っていた。

 

事業部長は業績向上のために、最初に部下の信頼を得なければ何も始まらない。しかし、上から目線でモノを進めていれば反抗されるのは目に見えている。人の上に立ち、人を引っ張るには、人を惹きつける魅力を持たねばならないが、そのための努力を怠り、指示すれば部下は動くと思ってしまう。自分は部下のとき、そうだったと言い訳するが、そのときの上司は厳しくても愛してくれていたはず。

 

次に、しっかり根回しして現場スタッフの了解を取り付けてから発表することができない。いきなり、現場に自分の指示を落としこんでも、それが、現場が待ち望んでいたものなのか?現場スタッフに聞かなければ本当のところはわからない。現場の声を聞きながら、なすべき問題点を拾い出して、改善のアイデアを現場スタッフに聞くようにして根回しすべき。自分を磨き現場スタッフの信頼を得ても、彼らの意見を尊重しなければ業績は向上しない。

 

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