驕(おご)れる者久しからず ただ春の夜の夢の如し
平家物語の冒頭の一文です。富や名声を得ていた者も、それを笠に着て威張っていると遠からず没するものだとの意味です。今のIT企業の多くがこのような状態に陥っています。フェイスブック、ツイッター、セールスフォース、など名だたるIT企業が業績悪化に陥るようになりました。
これまで、増収増益で拡大路線を突っ走ってきましたが、ここに来てそれも終わりに近づいています。そうなると、経営者はダウンサイジング(規模縮小)して収益を確保するようになります。もっとも切りやすいのは人件費なので、リストラ→地代家賃の見直し→諸経費削減などを行います。
IT企業はコロナ禍の中でテレワークを行うようになり、都会の一等地に広いオフィスを借りる必要がなくなりました。従来の場所なら半分以下、それでも高額家賃なら家賃の安い場所への移転を行います。こうして、都会の中心部は空洞化していきます。近隣のレストランも儲からなくなります。
自然豊かな土地でのんびり仕事をしても高給が得られる状況をコロナ禍は広めました。欧米では、こうして都心の空洞化がいっきに進み、そのため都心が魅力的な場所ではなくなりつつあります。お買い物も都会に出ていく必要がなく、ネット注文で事足ります。新しい時代の幕開けです。
これまで魅力的だった企業や都市がその魅力を失いつつあり、住みやすい土地や個人起業(フリーランス)に人気が出てきています。ITスキルやこれまでの経験を活かして地方を活性化するために起業する人も出てくるようになりました。都市に集中していた理由が失われつつあります。
石炭産業からガソリン産業へ、造船業から弱電業へ、重厚長大産業から軽薄短小産業へ、アナログ産業からデジタル産業へ、時代は新しいイノベーションを常に求めています。これからは、大企業より個人起業に魅力を感じる時代なのかもしれません。個人のスキルや経験が必要になる時代です。