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信じることのこわさ

 

ロシア国民は、ウクライナがひどい国だからロシアがウクライナの民衆を助けるために戦っていると信じている。かつて日本でも、アジアは西欧の植民地でひどい目にあっているから、代わりに日本が統治して彼らを解放するために戦っていると信じていた。情報統制下で国民は政府の情報を信じて疑わない結果だった。

 

戦場で勝利するたびに民衆は歓喜に沸いた。でも、それは敵味方双方や民間人がたくさん死んだことを意味している。人がたくさん死んで歓喜に沸いていることを異常な状態だと気が付かない。敵国の兵士は人ではなく悪魔のようだと信じ込み、悪魔退治なので殺さなくてはならないと信じる。

 

目の前の勝利に酔いしれ浮かれてしまって敵を甘く見てしまう。その結果、次の作戦もきっとうまくいくと信じて疑わない。暗号は解読され、秘密は無きに等しく、兵士は有頂天で注意散漫。用意周到に準備してきた敵にコテンパンにやられてしまうが反省はない。次の作戦も同じことをしてやられてしまう。

 

日本は神国だから負けるはずがないと信じ込み疑うことがない。竹槍で銃を持った敵兵を殺す訓練をしても、バケツで空襲時における消火訓練をしても無駄なことだと思わない。精神力で必ず敵に勝利すると信じ込んでいる。自国にとって不利なデータはまったく無視される。

 

データで裏付けのない勝利を信じて戦うことほど無謀なことはない。焦土と化した国土になっても抵抗を続けようとする軍部に、天皇陛下が直接敗北宣言しなければ決着がつかないほど過信が妄信となっていた。軍部や政治家に臆病者と罵られる勇気がないがために国民は貧困にあえぐことになる。

 

ひとつの考えを妄信すれば、それに反対する人を責めて排除しようとする。信じるものに囚われて他の考えを受け入れることができない。行きつく先は破滅でも、妄信している人は幸せになれると思い込んでいる。どんな忠告も受け入れることがない状態は、とても危険なことだと知るべきだろう。

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