企業の内部留保課税(利益剰余金)は二重課税
サラリーマンの方は、老後のために貯金をする。年収から源泉徴収され納税を済ませた手取りから節約して貯金するのは、まさかのために備えたいから。こうした貯金はすでに納税を済ませているお金なのでそれ以上の税金はかけられない。かけるとすれば、利息に税金をかけるしかない。
企業も同じように年間の利益から法人税などの税金を納めて、残るお金を企業の今後のために貯金するよう中小企業庁でも指導している。この企業内貯金が利益剰余金で、すでに法人税などを支払った残りなので、これに税金をかけるというのは二重課税になる。企業が反対している理由はそこにある。
サラリーマンの貯金に対して税金を徴収されれば、貯金するより土地を買ったりマンションを買ったり、多額の借金をしたり、贅沢をしたりするようになりバブルの再来になりかねない。一時景気が回復しても、その後のリスクはインフレでも起こらない限り非常に危険な状態。
内部留保金に課税するとなると、企業は利益を少なくするために節税に動き、同じようにリスクのあるバブル状態を作ってしまう恐れがある。少子高齢化で減収減益の企業が多くなり、先行きの読めない企業経営の中で、経営者が内部留保金を厚くするのは当然。人件費の上昇は、需要と供給によって決まるものであり課税したから上がるものではない。
個人でも貯金がなければ、病気や事故に対する備えもおろそかになる。内部留保金がない企業経営は、資金繰りがタイトで融資に頼らざるを得なくなり、借金体質になりがち。チョッとした業績の変化にも対応できなくなり倒産する危険も伴う。だからこそ、中小企業庁は内部留保金をしっかり貯える経営をうながしている。