国家も会社とよく似ている
第45代アメリカ大統領 ドナルド・トランプは、生粋のビジネスマンでアメリカ国家を企業に見立てて政策を実施している。アメリカは、財政収支(政府の歳入・歳出)と、経常収支(輸出入など対外取引)が、ともに赤字になっている状態が長く続いているが、米ドルが国際通貨であることから救われている。
企業に例えるならば、単年度の決算が赤字で、仕入れ価格が販売価格を上回っている状態。自分でお金を印刷しているのでやりくりはできているが、いつまで続くのかは企業の信用次第。これまでの経営者は気前が良くて、ボランティアが大好き。社員を他の企業に出向させてその企業の儲けを助けている。
雇用契約をしていない従業員も多く、低賃金でも平気で働くので正社員の雇用が脅かされている。社長は貧しい人がいるのだから違法であっても助けてあげようと目をつぶって雇用し続けているが、こうした従業員数は増えるばかり。街もこうした人が多くなり、これまでの正社員の暮らしが隅に追いやられている。
新しく就任した社長は、双子の赤字を解消して健全財政を目指している。単年度の赤字をなくすには、仕入れ価格の引き下げや販売価格の値上げが必要だし、ボランティアでやっていた社員を引き上げて、他の企業の販売を助けることを止めようとする。当社は、赤字なのでこれ以上の支援はできないと関連企業に通達している。
違法労働者の雇用をやめて正社員が働きやすい職場と街を取り戻そうとしているため、これまで不満を抱えていた正社員からは絶大な支持を得ている。取引業者だけでなく社内でも大混乱だし、戸惑っている人もいれば感情的になる人もいる。赤字を解消しようとするやり方は強引にならざるを得なく、全員の納得や協力は得られるものではない。