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憎しみは乗り越えなければならない試練

 

意見の相違があるとき、相手を暴力によって従わせる行為は自分の父親を見て嫌というほど知っている。従っているように見せても憎しみはつのるばかりで殺意さえ持っていた。31歳にして、こうした感情を抱えている自分に嫌気がさして父に感謝の手紙を書いた。

 

幼いころからずっと暴力を振るわれて従わせてきた父親に感謝することなど何一つないと思っていたが、良いところもあり家族のためにやってくれたこともある。そうしたことをすべて憎しみで覆い隠している自分に嫌気がさし、このままではいけないと思った。

 

どんな人にも良い所と悪いところがあり、ついつい悪いところに目が行きがちだが、そうなるとお互いに距離を置くようになり、良い人間関係は築けない。憎しみを乗り越えて相手を許し、相手の良い所を褒める度胸が必要だ。そうしなければいつまでも憎しみは消えない。

 

自分自身にも幼いころから父親を受け入れる姿勢を見せず憎しみと悲しみに満ちた目で見ていた自分がある。そんな目でいつも見つめられていれば嫌になるだろう。家族のために頑張ろうとは思えないだろう。それでも仕事をしていた父親に感謝できないのかと自問自答していた。

 

暴力をふるうようになった父親をつくったのは自分自身で、もしも、幼いころから父親にやさしい目をしていればああはならなかっただろうと思うと素直に感謝の手紙を書くことができた。それ以後、父親の態度も変わり優しくなった。父親が僕に感謝して死んでいったことで僕もよかったと思った。

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