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貧乏ほど嫌なものはない

 

僕は、幼少期から中年になるまで30年ほど貧乏暮らしだった。社会人となってからも多額の借財の返済に追われて、いくら稼いでも食べるモノさえままならない生活だった。幼少の頃は母親がいたので、何とか食いしのげることができたが、ひとりになるとそうはいかない。

 

ひとり暮らしの安アパートで、お粥をさらにお茶で薄めて食べていた。ひもじい生活をしていると友達は近寄ってこない。父親からも家に来るなと言われていた。サラリーマンの給与では返済できない額なので魚の行商やトラック運転手をしたこともある。

 

知っている方に出会うと、「親に迷惑をかけるな!」「地獄に落ちるぞ!」「その顔を何とかしろ!」と蔑んだ目で観られたりした。銀行の融資の窓口に呼び出されても面接は後回しで意地悪され、できない返済を執拗に迫られる。もちろん、返済繰り延べなどしてくれない。

 

1か月で400万円ほど稼いでも、すべて返済で終わってしまう。高校の同級生に、「おまえ、金ないんだってな。大学を出て何やってんだ!恥ずかしいと思わないのか?」とバカにされたが、彼よりはるかに稼いでいる。悔しさと悲しさに涙が自然とこぼれてしまう。

 

母親は父親に、「あの子はこんなことで死ぬような子ではないから、このままジッとしていればよい。」と言ったそうだ。返済できなければ死ねと言った父親の見方をしたが、「おたくのお子さん、魚を売っているわよ」と言われた両親は相当心配していたことだろう。

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