トルコの地震で倒壊するビル
トルコの地震ではあっけなくビルが倒壊して驚くような映像が流れていました。鉄筋コンクリート造は、鉄とコンクリートの良さを重ねた構造になっています。鉄は引っ張りに強いですが圧縮や曲げ(モーメント力)に弱く、コンクリートは引っ張りには弱く圧縮や曲げには強い特性を活かした構造になっています。
鉄骨造は曲げに対してH型にして強度を増していますし、圧縮に対しては断面を増やして対応しています。ただ、鉄は0度以下で冷えているとポキっと折れることもあります。神戸の震災では、こうしたせん断破壊が見られました。最近は、免振ゴムを使ったりバネを使ったりして揺れを分散する構造もみられます。
地震大国ならではの技術開発ですが、トルコではこうした技術の導入がおざなりになっていたようで、鉄筋を少なくした手抜き工事も多く行われていたようです。鉄筋が少ないと引っ張り力に耐えきれなくなり瓦礫となって崩壊します。鉄筋が入っていれば建物にクラック(対角線にひび割れ)が入る程度です。
阪神淡路大震災のときは、鉄骨が冷却されてポキンと折れてしまう現象がみられ建築業界に激震が走りました。強度計算に、鉄が冷却されてもろくなる現象を考慮した設計はなされておらず、この問題は今でも放置されたままです。首都圏大震災が真冬に起これば、高層ビルなどは倒壊するかもしれません。