服が売れない
この二年間で、オンワード、ワールド、TSI、三陽商会の4社だけでも1600店舗以上が閉店している。百貨店やモールから有名ブランドの衣料品店が撤退して、代わりにユニクロなどのファストファッション店が入っている。この40年、日本のファッションの発信基地だった渋谷パルコも閉店する。
僕はアパレル業界でも衣料品店やアパレルメーカーとして40年前には会社経営していた。当時は、作れば売れる時代で、アンアンやノンノンといったファッション雑誌で取り上げられた洋服を仕入れるか、自分で作れば売れる時代だった。誰もが、ファッション雑誌のモデルさんと同じ洋服を着てくれた。
今は、皆と同じ服なら安い衣料品店で購入するし、古着やタンスの奥にしまっている洋服などをリメイクして着る時代。個性あるファッションが街に溢れている。やっと欧米のように、個人がそれぞれのお洒落を楽しめる時代になってきたのだろうと思う。どこも似たような洋服を売る時代ではない。
デザインにこだわった洋服は、大量販売できないが、それが好きだというファンは根強い。僕の好きなブランドも日本にたった1店舗で、こだわりぬいた洋服を置いている。一見古着、よく観るとダメージ加工や汚れ加工などにこだわっている。着古したボロ着ファッションが好きな人でなければとても買わない。