1000年経ってもビクともしないコンクリート
現代のコンクリートの耐用年数は約60年。中に鉄筋を入れるのでコンクリートが酸性化してくると鉄が錆びて膨張し、内部からヒビが入りボロボロになっていく。このため、塗装したりするメンテナンスが欠かせない。それでも、海岸沿いのホテルや橋が崩落したりしている。
古代ローマ人のコンクリートは1000年以上経った現在でもビクともしない。古代のコンクリートには火山灰や海水が混入され、月日と共に化学反応によって強度が増していく。中に鉄筋を入れていないので錆びが原因の膨張破壊を起こさない。堤防や道路、水道橋に使われている現在のコンクリートは30年もすれば交換時期となる。
僕たちは、古代ローマの遺跡を見ているので、マンションや高速道路は数百年経っても大丈夫だと思いがちだが、現代の構造物は劣化が早いし強度も劣っている。ただ、鉄筋を入れるので古代ローマ時代のコンクリートを利用しないだけの話。不動産は、いつまでも財産ではなく、60年もすればゴミになる。
木造建築も古代の方が劣化しにくく虫食いにも強い。現在の建築木材は強度の劣化が早く腐りやすい。700年経ってもビクともしない木造建築がある一方で、現在の木造建築は30年程度で朽ちてくる。この違いは、木造建材の製造方法が海水に漬けて時間をかけているのと伐採してすぐに加工するかの違い。
現在は、何でも早くて安いことが求められるが、ゆっくりで高価な方が長い目で見ればコストパフォーマンスも良いことがわかる。僕たち現在人は、古代の人々が大切にしてきたものを忘れているかのように活動している。昔の物や方法は、古臭く、使いものにならないと決めつけているかのようだ。
じっくりと時間をかけて宇宙も地球も食材も造られてきた。それを簡単で短時間で安価にあらゆる化学薬品などを利用してできるように造られるようになった。その恩恵を受けているが、次第にそこに短命という地雷を含んでいることに気が付き始めている。人類の英知はまだまだ底が浅いのだと教えてくれているかのよう。