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知らないという悟り

 

和歌山には高野山と熊野古道の二つの世界遺産がある。どちらも大人気で世界中の人が訪れている。先日、高野山に行く機会があり、久しぶりに金剛峯寺に行った。そのお寺に大きな額が掛けられており、立派な僧侶が応対しておられたので、読み方と意味を伺ったところ、「知りません。チョッと伺ってきます。」と笑顔でお応えになった。その素直さに僕は、知らないと言える悟りもあることを知った。

 

応対している僧侶は知っているものだという僕の思い込みは、「何だ!あいつは知らないのか!」という感情に触れることもあるだろう。しかし、その感情は自分がまだまだ未熟だということで、「ありがとうございました。」と言える僕でなければ、人としての成長はないと教えられているようだった。自分の思い込みと違った態度であっても、受け入れられる態度こそ人として大切なのだと教えていただいたような気がした。僕は、その僧侶に深々と頭を下げて感謝した。

 

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