敗北を知って強くなる
パリオリンピックが開催された。金メダルを目指して世界のトップアスリートたちが集う大会だけにそれぞれ多くのドラマがある。金メダル確実と言われた選手が敗退したり、誰もが敗北を予想していた試合に勝利したり。勝負の世界は何が起こるかわからない。
ただ、すべてのアスリートに共通しているのは、敗北を経験しながらそのフィールドに立っているということ。敗北の数は勝利した数よりはるかに多く、その敗北を糧にしてトレーニングに励み、自分や相手を研究し、少しずつ勝利に近づいてきたということ。
勝利すれば讃えられ尊敬され賞賛されるが、負ければ非難中傷され嫌みごとを言われ散々な目にあう。元阪神タイガースの掛布さんも、ファンの非難と称賛に振り回された。そんなファンでも大切にし、ファンのおかげで素晴らしい野球人生を過ごせましたと言っている。
惨めな敗北こそ、這い上がるチャンスで、悔しさこそ次の勝利へのエネルギーになっている。そうしたことをオリンピックは僕たちに教えてくれているように思う。負けても、負けても、次に向かって立ち上がるアスリートを見て僕たちは自分を鼓舞している。
どんなにつらい敗北でも立ち上がれば次のチャンスが生まれる。生きていれば、そんなことをたくさん経験する。それでもあきらめないで頑張ることが大切なのだとアスリートたちを見て思う。かれらの涙は、それでも生きる価値があることを教えているようだ。