あっけなく死んでいく
家族で懇意にしていた方が99歳で亡くなった。元特攻隊の生き残りで死ぬまで仏壇に特攻機のそばに立っている自分の写真を置いていた。死ぬ前日まで自転車でお買い物をしていたとお聞きしている。
人は死ぬとき、嗚呼これが最後かなと思う瞬間があるが、僕は何とか生き残ってきた。そうした臨死体験をすると、自分のこれからの人生は自分のためでなく、他人のために生きていこうと思う。
人は誰しも死を避けられない。自分が死んだあと、生きている家族や懇意にしている人のために今のうちに何かしておこうと思うものだ。その方も、自分の財産は僕に残したいと言っていたが丁重にお断りした。
長年独り暮らしで、病気で倒れたときに、子供の借金を肩代わりしていたので、自分が死ねば返済もできるからと死のうとしていたが、それは間違いだと言って、入院代などを僕が支払ったことがあるので恩義に感じていたのだろう。
亡くなられた人のためにも、しっかり生きて供養しようと思う。それにしても、その方が死んだ日、僕はひどい腰痛で立っていることも苦痛だったが、あれは虫の知らせだったのだろうか?