嗚呼老人
70歳前になるといろいろ不便を感じるようになる。靴を履こうとしゃがめば腰が痛くてしゃがめない。何とか、しゃがんでも足を靴に入れようとするが関節がうまく動かない。結局、靴を履くのは椅子に座ってゆっくり履くようになる。
近視用の眼鏡と遠視用の眼鏡のふたつをいつも持ち歩くようになるが、ついついどちらの眼鏡をかけているのかわからなくなる。たまに、眼鏡をかけたままで眼鏡をかけていないと勘違いして探すこともある。
現金払いしようとお札を数えようとすると、指先が乾燥してすべるので数えられない。唾をつけようと指先を口先に持っていくが、マスクをしているので指先が口に入らない。おかしいと感じてやっとマスクしていることに気が付く。
乾燥肌になるだけでなく、目も乾燥するようになりドライアイだと医師から診断される。これまでのカスミ目用の目薬は防腐剤が入っているのでダメだと言われて目薬を買いなおす。防腐剤が入っていない目薬をどこに置いたか忘れるようになる。
若い頃は大好物だったケーキは食べると血糖値が上がって頭痛になるし、焼き肉やステーキは食べるとあとから胃がもたれて翌日はゲップばかり出るようになる。代わりに嫌いだった野菜のお浸しなどが好物になる。
読書が大好きだったのに書物の文字が小さくて読めない。老眼鏡をかけてもかすむようになり文字を読むのがおっくうになる。書類に記入しなければならないときなど、文字が小さくて読めないし、書く欄も小さくて記入しづらい。
物忘れが激しくなり、昨日のことも思い出せないこともある。携帯電話やメガネなどを置き忘れることもあり、取りに戻ることもしばしば。ろれつもまわり辛く、うまく話せないこともあり嗚呼、自分も年老いたなと実感する。