家を造る
石器時代の家は基礎を丸くして、丸太を斜めに組み立てた三角屋根が多い。丸太の周りはわらなどを積み上げて屋根壁にしている。トラス構造で力学的にはこれがかなり強い。個室はなく、中央に炉があり暖を取ったり調理したりできる。煙は上りいぶされるので屋根は腐りにくい。移動も簡単にできるので、狩猟時代には重宝する。
農耕時代になると、コメを蓄える必要ができ、高床式の家が造られるようになる。倉庫としての役割もあるので、床は四角形になり木組みになり柱と梁が必要になる。梁の上は小屋組みになり雨水を下に流す斜面になる。こうしたラーメン構造は地震に弱いので、斜めの補強材(すじかい)が必要になる。
寒暖差のある乾燥地域では地下に住居を造るようになる。地面の下30㎝ほどで温度は一定になりすごしやすい。ただ、二酸化炭素が溜まりやすいので空気穴が必要になる。明かりは天窓を利用すれば明るいし鏡を利用すれば、地下深くまで明かりを取り入れることもできる。
人が集まると平屋から二階建ての家になり、さらに高層階の住居を建てるようになる。しっかりした土台が必要になり、松の木を地面に打ち込んだり、石を敷き詰めたりして基礎固めをしなければならなくなる。柱や梁も太くなり、重い分だけ地震に弱くなる。そのため、土台の柱は基礎石に乗せるだけにして動くようにして免震構造にしている。
また、流木は伐採したての木よりも強い。そこで、伐採した木を海水に2~3年間浸して2~3年間かけて自然乾燥させ、乾燥した流木に近い状態の材木を利用するようになる。こうした材木は強度もあるし変形もしないし虫食いもない。数百年間経ってもビクともしない建物が建てられるようになった。
昔の人の知恵は現代人をしのぐこともある。何でも新しいものの方がイイに決まっていると思い込みがちだが、これが大きな間違い。現代では、再現できない技術やものもあり古代の知恵には驚かされる。先祖を敬えというのは拝むことや感謝することだけではない。