賃金の国際比較は業績次第ではない
バブル絶頂の1990年、日本の賃金は世界一高く日本人一人の年収で中国の労働者を10人以上雇えると話していた。戦後の日本は、1971年のニクソンショックまで1ドル=360円で固定されており、教育や技術水準が高く賃金は世界一安い国だった。
1971年まで、日本は海外から資源を輸入して製品に加工して貿易によって富を得ることで高度経済成長は成功する。加工貿易立国として成功しても、日本人は海外のものはまだ高くて買えないが賃金は上昇し、国内製品は安く国内消費は活発だった。
円安で安く製品を製造して売ることができる=貿易利益が得やすい=賃金が上昇する 中国も同じようにして成功している。それが急激な円高になり1ドル=120円になると、1万円=28ドルが84ドルにもなり、約3倍の値段となり儲からなくなる。
儲からないので昇給もできない日本は、海外に工場を移転して安い労賃を求めるが、その国の法律によって出資比率を抑えられ、技術を合法的にその国の会社に移転するようになる。技術を手にしてその国は自国企業を立ち上げて世界企業へと成長する。
20万円の給与は1ドル360円だと556ドル、1ドル120円だと1667ドル。同じ給与でもドルベースで比較すると、日本は賃金上昇していることになる。海外の人からすれば、円高の日本で働けばドルベースで高収入が得られることになる。
円安になれば輸入品の値段は高くなり、国内の物価は上昇し生活は苦しくなる。貧しくなっていく日本は海外との比較で賃金が安く教育水準は高く政治は安定している魅力的な国となり、海外から工場が移転してくるチャンスが広がる。
円安が一概に悪いと決めつけるよりも、円安を利用して儲ける算段もできる。海外旅行は高値の山になっても、円安で海外の人がたくさん日本に来て消費してくだされば、かつてのように儲ける日本へと変貌することもできる。