資産運用より自己投資
若い方がビットコインや株投資、不動産投資などに興味をもって多額の借財を背負うことがニュースになるが、若い頃は資格取得やスキル向上のための自己投資や起業して営業や商品やサービスの開発に力を注ぐ方が良いと思う。
投資で儲けてもいっときの事で、やり続ければ損失が膨らむ。投資をしている人は、儲け話しかしないので信じてはいけない。僕は、プロの証券マンを信じて何度も痛い目にあっている。チョッと儲けていい気になると損失は気が遠くなるほどになる。
僕は、大学を卒業してから、借金はあっても貯蓄はなく稼いだお金はすべて次の仕入れにしたり商品開発の資金にしていたりしていた。楽して儲けるより、汗を垂らして儲ける方が楽しく、性分に合っている。
個人でアパレルメーカーをしていたので、新商品は毎日考えなければならない。季節ごとに生地もデザインも変わる。ひとつのデザインでも売れ残れば多額の借金を背負うことになる。毎日が必死だったがやりがいもある。
原宿界隈を歩いて、これはと思った商品を買ってきてバラバラにして型紙を作り、生地を手配してデザインを決める。たったひとり、手作業で縫製までやるので2週間もすれば商品は出来上がる。これをブティックに卸売りする。
有名なブランドなら1万円以上するものが、同じようなデザインと生地感の洋服が4,000円ほどで購入できるとなれば飛ぶように売れる。しっかり稼ぐことができた。税務署に行って税務申告の仕方も教えてもらった。
縫製は、洋裁学校を卒業した人から教わった。簿記の記入の仕方は商工会議所で習った。営業の仕方は、最初に就職した住宅メーカーで鍛えられた。人気ブランドメーカーの人たちとも友達になりいろいろ紹介してもらった。
こうしたスリルと喜びは資産運用では味わえない。あれから半世紀近く経ち、街はすっかり変わってしまったが、今でも原宿界隈を歩けば、当時の記憶がよみがえる。あの頃、必死になって生きていた20代の自分がそこにいた。