事業計画は現場スタッフに作成させる
創業時は自分で事業計画を作ってスタッフに説明し、皆が納得すればそのまま実行していたが、会社が大きくなりスタッフも増えれば事業計画は現場スタッフに作成させるようにしている。僕は、現実的にできる夢を描くだけだ。
現場スタッフは、5か年事業計画を作成し、そのときにこれだけの利益を上げるので、これだけの昇給をお願いしますと書いている。僕は、事業計画の初年度はそのまま昇給額を受け入れる。次年度からは、この事業計画がどの程度達成できるかによる。
会社が大きくなっても社長の独断で事業計画を立てて現場に落とし込むと、乖離が生じた場合、これは社長の事業計画だから甘いんだと考えて逃げ道を作ってしまう。自分たちで作成したものはこうした逃げ道がない。言い訳できないので頑張るしかない。
たったそれだけの違いだが、スタッフの意識で業績はコロッと変わる。現場スタッフたちが作成した事業計画は、自分たちのプライドがあり何としても達成してみたい。それが達成できれば昇給額も満額頂ける。やってみる価値はある。
現場スタッフもこうして経営能力を伸ばすことができるし、後継を任せる人材育成にもなる。どんなセミナーに参加させるよりも効果的だ。自分で考え、自分で実行する。それによって得た利益は自分が考えた配分をいただける。面白いと思える経営だ。
事業計画がうまくいかなくてもスタッフを責めたり、責任を押し付けたりするようなことはしない。赤字になっても責任は社長である自分が取る。昇給は赤字でもすることにしている。それによってスタッフは、来期は必ず黒字にすると決意してくださる。
往々にして経営者は、セミナーなどで学んだ事業計画を立てて実行したがるものだが、現場のことは現場スタッフがいちばんよく理解している。彼らの意見こそセミナー講師やコンサルのアドバイスより価値があることを知らない。
中小零細企業から脱却できない経営者は、もっとスタッフとよく話し合い、彼らを理解して彼らの意見を受け入れ、自分の考えを変えていかなければならない。業績向上のいちばんの抵抗勢力が社長自身だと理解しなければ業績は向上しない。