売り家と唐様で書く三代目
初代が一代で築いてきた大店も二代目になるとこれまでのビジネスモデルを続けるだけで衰退し、遊興にふけっていた三代目になると落ちぶれてお店をたたむことになり唐様で「売り家」と書くまでに落ちぶれてしまう。江戸時代の川柳です。
戦後から令和にかけて企業の平均寿命は30年から23.5年になり、初代が築き上げてきた大店も二代目で潰してしまうようになりました。現在では、二代目が遊びにうつつを抜かして潰すのではなく勉強しすぎて潰してしまうケースもあります。
創業者はどの国でも貧困家庭から成り上がってくるのであまり勉強に熱心ではありません。とびきり優秀な成績を収めることもありません。ただ、貧困から抜け出すために研ぎ澄まされた嗅覚(何をすれば儲かるのか?)だけは優れています。
一代で大企業に登りつめた創業者は、子供たちへの教育費を惜しまないので高等教育を受けることができます。彼らは、欧米の優れたビジネス理論を駆使して親の会社を分析検証します。そして、新たなビジネスモデルを提案します。
こうした理論など理解することもなく、子供に後継を託して引退しますが、子供には嗅覚がありません。人としての魅力や人を引き付ける営業力もありません。時には、白いものを黒いですと言い切れる度胸もありません。
どんなに優れた経営理論でも経営者としての魅力がなければ従業員はついてきません。相手によいしょして気分よく持ち上げる営業も必要です。つまり、創業者が引退する時期が会社の寿命になるのです。