起業家が育たない日本
一流大学に進学し、一流企業への就職が生活の安定と成功だと信じる体制に従う日本文化があり、優秀な若者ほど大学受験勉強に明け暮れている。一流企業への就職を果たせばすごろくの上がりのようなもので、世間からの評価は高いが、個人企業家になれば最低の評価が下される。
銀行の貸付も保証人や担保を要求するが海外では非常識。ベンチャーキャピタルの資金提供も海外に比べてハードルが高い。何より親や友人から起業に対する反対意見が出る。起業するにも行政に提出する書類の多さにびっくりする。行政からの規制も厳しく、日本では起業家が育たない。
ITスキルの高い人材は、素晴らしいアイデアで起業しようとしても規制に阻まれ、資金で苦しみ、人材集めに苦労する。それなら中国の深圳に行って起業した方がましで、あそこなら合弁会社を立ち上げてベンチャーキャピタルから資金提供も受けられるし、規制もなく人材も集めやすい。
世界のITの中心地がアメリカのシリコンバレーから中国の深圳に移りつつある。世界から優秀な人材が集まり、毎年驚くほど多くの起業がある。もちろん、失敗するリスクもあるが返済リスクがないので挑戦する若者が後を絶たない。日本は、こうしたシステムがなされておらず、リスクを取り辛い。
行政は古い企業を守る方に資金を投じているが、世界的に見れば新規企業が雇用を生むパワーの方が勝っている。新しいアイデアと勇気と冒険心をもって起業する人を支援する制度、規制のない実験都市があれば、日本が秘めている技術力を高め、世界企業になるベンチャーを育てることができるだろう。