苛めた方は忘れても、苛められた方は忘れられない
僕は小学校1年生のとき、同級生から苛められたことがある。そのことは今でも忘れられないトラウマ(精神的外傷)になっている。中学生の時、苛めた同級生にそのことを言うと、彼は何も覚えていなかった。60年近くたった今では、質問したことすら忘れているが僕の記憶は鮮明だ。
日本は沖縄を除いて外国に侵略され蹂躙され苛められたことがない。苛めた方は忘れても、苛められた方は記憶から離れることはない。いくら謝罪したところで心に負った苦しみはなくならない。それほど、苛めは心に深い傷をつけてしまう。日本では近代史はあまり習うことなく卒業してしまう。
僕たちのお爺ちゃんやお父さんの戦争が悲惨だというのは、多くの日本人が戦死していったことや市民の苦しみのことを指している。しかし、日本人が海外の人々へどのようなことを行い、彼らがどのように感じていたのかは語られる機会がほとんどない。沖縄や隣国の方のやり方に違和感を覚えるとき、僕は苛められた記憶を思い出す。