戦争における殺人は合法である
戦争は合法なのか違法なのか違法なのかは、太平洋戦後の日本で行われた東京裁判で議論されている。「真珠湾攻撃を行った日本の戦争責任者が犯罪者として裁かれるのであれば、広島に原爆を落とした責任者も同様に裁判によって裁かれるべきである。」という主張をアメリカ合衆国の陸軍軍人・法律家でもあるアメリカ陸軍少佐ベン・ブルース・ブレイクニーが主張している。
彼は、東京裁判の冒頭で、「戦争は犯罪ではない。戦争法規があることが戦争の合法性を示す証拠である。戦争の開始、通告、戦闘の方法、終結を決める法規も戦争自体が非合法なら全く無意味である。国際法は、国家利益追及の為に行う戦争をこれまでに非合法と見做したことはない。歴史を振り返ってみても、戦争の計画、遂行が法廷において犯罪として裁かれた例はない。」と主張している。
戦争では、多くの人が死ぬが、それは自然死ではなく殺人によって引き起こされた死である。戦勝国が敗戦国の指導者を悪人として裁く行為は昔からあるが、同時に戦勝国の指導者にも同じ理屈を適用することはない。勝者が仲間の死を悼んで敗者を敵意に満ちて裁くのは、古来からの習いである。国家間において紛争解決の手段として戦争を用いるのが合法なら、どの国も軍備を持つようになる。
国家間における紛争解決の手段として国際秩序維持のための軍備を持った国際軍だけが存在するようにすれば、国際法を無視した行為は国連軍が軍備を持って秩序回復に努める。一国内であれば当たり前のことが、多国間ではできない。一国内であれば殺人となることが、多国間では宣戦布告さえすれば合法となる。その宣戦布告も相手が受け入れようが受け入れないとしても、攻撃は合法になる。
莫大な予算を使って軍備に走る国家が絶えないのは、こうした国際法があるからで、各国の代表者が集まって紛争解決の手段として戦争を用いないと決めれば、その国際法に署名した国同士の紛争は平和裏に解決していく。更に、署名した国では軍備を持たせず、署名国が予算を出し合って国際軍を組織して、加盟国以外の国が戦争を引き起こすならば戦うようにすれば少しは国際平和になるのかもしれない。