能ある鷹は爪を隠す
僕は毎年1億数千万円もの法人税を納めている。金融関係の方や税理士からは、いろいろな節税対策を勧められることもある。不動産投資は如何でしょうか?高級マンションを購入して社宅にしてご自分で住んでは?4ドアの高級外車を社用車にして、ご自分で運転なさっては?飛行機やコンテナに投資しませんか?生命保険や養老保険は如何でしょう?すべてお断りして、馬鹿正直に納税している。
全国の法人会や商工会議所や企業様から講演を依頼されることがよくあり、昔は全国に出向いて講演させていただいた。講演会場へはお付きの者などいなく、ひとりで行くし、サーファーなので、砂だらけの車はホンダのボロボロのステップワゴン、背広の袖はすり切れており、980円のYシャツはスケスケで下着が見えている、靴はボロボロで靴下は穴が空いている。
講演会場に着くと、講演者のお付きの者と勘違いされて、車は裏に回してくださいと言われたり、講演者はいつお付きになるのですかと聞かれたりした。聞きにくる中小企業の経営者は高級車ばかりで、高級ブランドの洋服を着て、高級ブランドのカバンやバッグを持って来ている。控室に案内されるときから皆さん僕に幻滅している。
名刺交換をするときには、二次会の話で皆さん盛り上がっており「どのクラブにするか?」などと言いあったり、先日のゴルフコンペは楽しかったなどと話しあったりしている。講演会場での第一声「あんたらは馬鹿なのか?」から、僕の講演は始まる。日本を支える気概のない者には「面白い人だ!」程度にしか映らないし、ヤル気がない人が多いので、最近は講演の依頼をお断りしている。
就職活動をしている人には申し訳ない話だが、この日本にはどうしようもないダメ社長がわんさかいる。そんなダメ社長のために働くぐらいなら、自分で起業して会社を興し、自分の才覚ひとつで仕事をする方がよほどましだと思う。現場の第一線でバリバリ働いている社長は服装などに構っている暇はない。セミナーに傾倒する時間もない。従業員の声をいつも聞いているので、遊ぶことさえできないが、それぐらい働かないと好業績にはなれない。