わかるとできる物語 第2章 1 教室とインストラクターは必要
映像授業を制作すると、その講義はそのままビデを授業として、直接、生徒様に販売することもできるし、通信教育の教材として会社を立ち上げることもできる。映像授業の直販はもっともコストがかからないが、買っていただいた人ができるようになったのかを確認する方法がない。通信教育は、多くの場合、教材が溜まるだけになっている。
僕と植田さんは、最初から教室を開いて、教室の一斉授業で培ったノウハウを自宅の二階に映像受講用の教室を作り、そこで映像授業で受講していただき、映像授業でついていけないところがあるとサポートしていた。教室では、教えている内容に関する質問だけでなく、自宅のパソコンに関するものや仕事に関する質問もあった。
こうしたキメの細かい対応をするには教室が必要で、そこでは映像授業のサポートばかりでなく、人としてひとりの生徒に向き合って、その方を幸せにする愛情が必要だった。生活の不安を口にする人もいれば、パソコンで何をすればいいのかと聞く方もいるし、転職できないと愚痴る方もいる。病気の不安を抱えている人もいる。
1時間の受講後、僕と植田さんは、生徒の方にお茶や珈琲をお出しして、今の映像授業の理解度を試し、感想をお聞きし、要望をお聞きしていたが、生徒の方の多くは、パソコン以外のお話しが大好きだった。人は誰かとつながっていたい。それが強くつながっているほど頑張ろうと思えるし我慢強くなる。
素晴らしいスポーツ選手が、ひとりでトレーニングするのではなく、素晴らしいトレーナーを雇うのと同じこと。僕たちは、パソコン教室「わかるとできる」を創り、そこに映像授業の質問を受け付けるだけでなく、いろいろな相談にも応じてくれるITトレーナーを付けることで地域に貢献できると思った。