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BUNちゃんの住宅設計 住居はキッチンを旨とすべし

明治時代、住宅は来客のために建てられており、玄関と客間は家の一番日当たりのよい南向きに配置され、女性が働く台所は日当たりの悪い北や西に追いやられていた。戦後の復興期には、土の付いた野菜を洗い流す台所は、スーパーで綺麗に洗われて包装されている野菜を切るぐらいのキッチンと云われる生活に変化する。

僕は自宅の設計で一番重視したのがキッチンで、いちばん利用される時間が長い部屋で、女性がいちばん働く場所であり、女性の憩いの場でもあるからだ。もっとも使う部屋であれば、もっとも日当たりのよい南向きにした方が乾燥して衛生的で良い。広さも8畳以上にしてできれば、12畳は確保すると多くの食材を広げて調理できる。

レストランを設計するときは、平面図の半分が調理場で、残り半分が客席にするほど、調理する者にとって、キッチンは広さと快適さが求められる。しかし、住宅設計では、一生涯使うであろうキッチンは3畳から6畳程度で狭く、炊飯器や温水機を置き、野菜や果物などを置いて調理できないのにリビングは12畳ということも多い。

食材をテーブルにのせて調理するには、最低でも奥行60㎝幅180㎝は必要。コンロは3個口でも我慢できるが、流し台は幅90㎝の広さは必要。食器やキッチン用品などを収納するのに整理棚はたくさんあった方が助かる。高価なシステムキッチンを購入するよりも、プロ用のステンレス製の広い調理テーブルを購入するか、大工さんによく似たものを創ってもらう方が便利で安い。

一家団欒のリビングという概念は今の時代には当てはまらなく食堂程度で充分。食事中はテレビをつけない方が良い。各自、テレビは自室で自分が観たい番組を収録して観ている。お父さんは仕事で遅くなり、子供は学習塾で夜はいないし、奥様は働いている。21世紀は個人の時代であり、各自のライフスタイルが変化している現在において、家庭はシェアハウスになっている。

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