社長は、現場に出てはいけない
こうした言葉は、経営者セミナーなどで聞く。経営コンサルタントは、会社を大きくしたければ現場に出てはいけないとアドバイスする。中小企業の経営者は、この話に驚き、聞き入って自分は経営全般を俯瞰して組織作りをすればよいと判断してしまう。
現場の事は、現場に任せて自分は社長としての仕事に専念すれば、会社は大きくなると信じるようになる。こうした社長が集まって、ありがたいお話を聞き、経営者同士の交流を深めていく。~会などと銘打って、従業員教育はこうあるべきだと講義を受ける。
カタカナビジネス用語を駆使して講義してくださる経営コンサルタントが神様のように思えてくる。それと反比例するかのように従業員がバカに見えてくる。従業員教育セミナーに参加させてレポートを提出させる。従業員は仕事をしないので楽しい時間が過ごせる。
経営コンサルタントに洗脳された会社は、バカ高いセミナー代を支払って、業績を落としていく。一種の宗教のように信者となった社長は、何でも経営コンサルタントに相談するようになる。業績が振るわないのは経営コンサルタントの言うことをやれていないからだと思い込む。
しかし、仕事で儲けたいなら信じるべきは従業員とお客様であり、お客様のご要望を叶えるサービスや商品を出しているかどうか。そのためには、社長は現場に出て、現場の意見、お客様の意見をよく聞き、自分で改善策を見つけなければ業績はよくならない。
世界企業にのし上がったユニクロや日本電産、かつての本田宗一郎など、できる社長は現場主義を貫いている。経営コンサルタントよりも深い見識と知識やスキル、それに直感といったものを持っている。経営者が現場を離れると社員も離れていく。