東京に行ってチャンスを掴む
20代の頃、田舎暮らしの僕は多額の借金の返済で魚の行商をしていた。魚ばかりでなく下着やファッション衣料も行商するようになると、徐々に街で販売するようになる。和歌山県から大阪府、兵庫から京都まで足を延ばすようになる。
それでも返済に困っていた僕は、とうとう東京にまでやってきて売り歩くようになる。東京には驚くほど多くのアパレルメーカーがあり、千駄ヶ谷周辺で仕入れるようになると売れ残りの衣類があるので、これを一括仕入れで東海道沿線の衣料品店に卸すようになる。
売れ残りは原宿界隈の路上で声がけして販売すると驚くほどたくさん売れた。田舎では考えられないほど多くの人がいて販売しやすく仕入れも近くで行うことができた。半世紀も昔の話だが、東京はビッグチャンスのある街だと実感した。
その後、田舎で衣料を製造して原宿界隈のお店に卸すようにもなり順調に返済できるようになった。多くの人がうごめき、やる気のある善人と悪人がうごめいている街。都会では、あまりにも人が多いので外見で人を判断するようになる。
ハイセンスな洋服で清潔にしていれば信用されやすい。都会では親戚筋を調べることもできないので外見が大切になる。自然と、ファッションに気を遣うようになる。高額な洋服でも信頼されるための必要経費になる。田舎では考えられないことだ。
少しでもお金が欲しい人が多いので、騙されやすく騙しやすいのも都会ならでは。起業もしやすく倒産もしやすい。見栄をはっても様になり、見栄をはらなければ信頼されるまで時間がかかるのも東京ならでは。