僕は23歳から起業して70歳まで、約50年間経営者としてやってきた。魚の行商から下着の行商、アパレルメーカーなどいろいろな業種に変化しながら、今日までやってきた。起業したころは借金だらけで、人脈もなく、いっしょに働いてくださる人もなかった。

 

資金がなければ商品の仕入れもできない。その日の仕入れを夕方まで待ってもらい、その日の売り上げから仕入れ代金を支払うようにお願いして何とか行商を始めることができた。声をかけていっしょに働いてくださる人も見つけることができた。

 

資金がないから商売できないという嘆きは僕にはなかった。なければ何とかする。それだけでやってきた。知恵は、何もないから出てくるものだ。行商のルートにも売り方にもこだわりができた。借金があるからこそ産まれた知恵がある。

 

何もないから何もできないのではなく、何もないから知恵を出して努力できる。その努力が実り大きな果実となって成功を収める。たったひとりで初めても、それに共感してくださるよう知恵を出し、改良し、説得できるようにする自分を磨くことができた。