適材適所
野球はホームランバッターばかり集めても試合に勝てない。足の速い1番、バントがうまい二番、アベレージバッターの3番、ホームランバッターの4番、高打率のベテランが5番などそれぞれに適材適所がある。こうした才能を活かしてこそチームはうまくなり勝てるようになる。彼らの配置を間違えると勝てる試合も勝てなくなる。
それぞれの選手は得意・不得意があり、練習して克服できる者もいるが、そのほとんどは持っている才能を見極めて伸ばすことで、できないことをやれという指導は選手を潰してしまう。単打しか打てないバッターにホームランの打ち方を教え、130㎞の速球しか放れないピッチャーに160㎞の速球の投げ方を教えてもできない。
仕事の世界ではこうしたミスマッチが頻繁に起こる。長年働いているのでそろそろ管理職にしてあげたい、部下をつけてやりたい、支店を任せてやりたいなどで業績を落としてしまう。釣りバカ日誌の浜崎伝助は平社員で実力を発揮するが管理職にすると会社をダメにしてしまう。社長はそれを見抜いてヒラのままにしている。
同期入社の彼らが支店長になったからといって自分も支店長になりたいと思うのは自然だが、人望や実力がなければ業績を落としてしまう。長年、チームに貢献しているので4番を打たす配置がないように温情で人事を行ってはいけない。ヒラとして会社に必要な人材だが支店長は任せられない人材もいる。
反対に、入団していきなり4番バッターになりホームランをかっ飛ばすかつての清原のような人材も入社してくることがある。そうした人材は、すぐにでも支店長として活躍させた方が会社のためになる。人事や研修は、野球と同じこと。才能を見極めてできることを伸ばしできないことはフォローする。
野球では欲しい人材はハッキリしており、変化球ピッチャーが欲しいとか守備のうまい選手が欲しいなど、会社採用も同じように高度なパソコン操作のできる人が欲しいとハッキリさせるべきで、そうした人材がいなければ見つけるまで採用しない姿勢が大切。ミスマッチの人材を採用して双方に幻滅を与えるようなことはしない方がよい。