終身雇用、年功序列、定年退職がなくなる
日本企業では常識で、海外では非常識だとされてきた、この3つがなくなりつつある。この3つの制度は日本独特の制度で、生涯、一つの会社で正社員として働いてくださるのであれば、仕事の能力に関係なく毎年昇給しますし、定年になれば退職金もお出ししますという制度。
海外では、転職やヘッドハンティングは当たり前なので、定年退職や退職金はない。昇給は仕事の能力次第で、会計年度内に会社にどれほどの利益をもたらしたかによって、翌年の昇給は決まる。しっかり働かない社員の解雇だってすぐに起こりえるが、日本企業はなかなか解雇ができない。
デジタル社会になってビジネスモデルが大きく変化して、勝ち組の会社が負け組になったり、新興企業がいっきに伸びたり、転職が普通に行われるようになったり、正社員ばかりでなく、契約社員やパート社員も多くいるようになれば、こうした正社員のための制度は徐々に崩壊していく。
海外では初任給が高く、昇給は働き方次第で、毎年同じことをして同じ儲けしか出せないのであれば昇給はない。日本も働き方改革で、同じ仕事をしているのであれば正社員と同じ給与をパート社員にも出しましょうと言っている。海外の常識を導入して、賃金格差を縮小しようとしている。
海外の企業や新興企業の初任給は日本でも高く、すぐに解雇するリスクもあるが、優秀な人材を集めやすい。こうした傾向を無視できなくなった日本企業も年次昇給幅を縮小して、初任給を上げることで優秀な社員に来てもらえるように制度を変えてきている。政府もこうした動きを歓迎している。
少子高齢化の日本では、この20年で1000万人の労働人口が減少した。高齢者や女性の労働者が増えているが、ITスキルが成長企業では求められている。ITスキルを身につけるために、社会人教育に補助金を出しているが効果は上がっていない。高齢者が高いITスキルを身につけて働いてくだされば高収入が期待できる。