今日の勝ち組は、明日の負け組
日本最大の会員制家具店だった家具屋さんが赤字に悩んでいる。30年ほど昔、ウインドサーフィンをしてから大阪南港のそのお店に短パン、Tシャツ、ビーチサンダルで伺うと、会員登録すらさせてもらえなかった。高級ブランドの家具を取り扱っているので、僕のような風体の男は無視したのだろう。
会社が大きくなり、スーツで伺うと会員登録させてもらえて、やっと購入できるようになったが、会員制というのは特別感をお客様に感じさせる手法だと感心したことがある。その後、創業者とお子様の間で、会員制にする、しない、安い家具も販売する、しない、などでお家騒動になりブランドイメージは悪くなっていった。
その家具店が3期連続の赤字に悩み苦しんでいる。買いたいと思わせる家具がなく、小さな会社や個人だが、個性あふれるオリジナルの家具を製造している所でもインターネットで営業できるようになったし、海外の家具店やホームセンターでオリジナル家具を販売するようになり、徐々に魅力を失っていったのが赤字の最大原因。
この会社の決算書を観ていると、パソコンが普及するまで業績が良く、パソコンが普及してからの業績は下降している。経営陣は、業績が上向くように判断するが、従来の仕入れて売るというビジネスモデルを脱却できなかった。消費者は大規模店よりもさらに多くの家具を観ることができるインターネット検索で家具を探すようになった。
僕も家具を購入するときは、画像検索して好きなデザインを選び、そのお店にメールして来店するようにしている。九州の片田舎で家具を作っている個人の作家に和歌山の田舎暮らしの僕が注文を出せる時代になった。海外のサイトからでも、海外の作家さんに家具を直接注文することもできる。
大規模小売店が軒並み業績不振であえいでいるのは、仕入れて販売する従来のビジネスモデルが崩壊して、魅力ある商品を製造している個人や中小企業が、直接インターネットを通じて消費者に販売できる時代になったから。お店の規模で争う時代は終わり、商品の魅力で競う時代になっている。