店舗を守るんじゃない、働く人を守るんだ!
昭和16年12月の真珠湾攻撃から始まった太平洋戦争では、昭和20年には負け戦とわかっていながら戦い続けて大きな損害を被る結果になってしまった。戦争は始めるのは簡単だが負け戦を認める決断はできず、天皇陛下におすがりしている。敗戦を認め、敗戦処理できる者こそ勇気ある優秀な人物。
日本は本土決戦を主張し、1億総決起=1億玉砕 をもって敵に向かうと血気盛んな発言が尊重され、無条件降伏であっても戦争終結に努力すべしと発言する者はいなかった。陸軍と海軍はバラバラの作戦を立て、内閣、陸軍、海軍と連携した情報開示もしない。お互いの縄張りを主張して徹底抗戦を主張している。
多店舗展開している社長はすべての店舗がうまくいくとは思っていない。どんなに頑張っても赤字の店舗が出てくる。立地が悪かったり、環境が変わったり、働く人のチームワークが取れなかったり、オペレーションがなかったり、それぞれに原因を究明して改善していくがうまくいかないときもある。
平凡な店長や管理職は、閉店の決断ができずにズルズルと赤字を引きずっていく。閉店することは自分の評価を下げ、他企業に不信感を持たれると思い込んでいるが、優秀な店長や管理職は、ズルズルと赤字を引きずることで、会社にどれほどの損失が出てくるかを計算して倒産を未然に防ぎ、社員を守ろうとする。
「俺は絶対閉店させぬ!」と叫んでいれば現場のウケは良い。全総力を挙げて赤字撲滅にまい進すると叫んでも、赤字は解消されぬこともある。現場の赤字をごまかしてでも俺が守ってやると言えばウケはよく、まるで戦争末期の日本帝国軍のようだ。社長一人が悪のような言動を管理職がすべきではない。
情に流された経営は赤字店舗の損失の積み上げによって昇給もできず、損失の累積によってヤル気もそがれていく。まるで、戦争末期の陸軍や海軍、政府の狼狽ぶりを観ているようだ。勇気ある決断とは、策がないなら赤字店舗を閉店して、従業員を黒字店舗に配置して、黒字を確保すべしと発言するのが優秀な店長や管理職だろう。