頂上に立てば風当たりも強い
山登りが好きな方は、頂上を目指して歩き、頂上に立った時の360度さえぎるものがない眺望がたまらなく素敵で、また、山に登ろうと思う。しかし、山を登っているときには感じなかった風が身体に当たって、風の反対側の斜面にいれば、全く感じなかった天候の変化をまともに受けるようになる。
多くの社員や取引業者様を抱える企業のトップになれば、企業内部からの反発だけではなく、業者様からの反発もあり、すべての反発の最終処理をしなければならない。感情的になって怒り狂う方もいれば、我慢しすぎて体調を壊して救急車で運ばれる方もいるし、放心状態になって心を閉ざす方もいる。
僕も一つの案件を実施するには、本社内説明で反発され「儲からない」「できない」「やっても意味がない」と言われ続けて数年も我慢することもあるし、その案件がやっと理解されて、加盟校様に説明すると、今度は加盟校様から同じように言われて数年説明に費やすこともある。
企業トップになれば、感情的になる方が自分の健康管理には都合がよいが、感情的に押し切っても社内の理解も得られない状態では、やってもヤル気のない社員が足を引っ張りうまくいくことはない。皆が納得してヤル気になるまで、冷静に説明して納得してもらうのをジッと待つ。
加盟校様でも同じように納得していただくまで、冷静に説明して納得していただくのをジッと待っているが、その間に挑戦すべきことのタイミングを逃していく。結局、どこかで、反対する加盟校様は見限り、多くの賛成してくださる加盟校様の利益を守る行為におよぶが、このときほど反対している方から憎まれるものはない。
タイミングを逃せば、お客様の期待に添えなくなり儲けは減少し、スタッフの削減、教室の移転や閉校などを行い、縮小しなければならなくなる。給与が上がらない会社に魅力はないので、仕事にヤル気が生まれなくなり、倒産がみえてくる。そうなるぐらいなら、反対する方を見限るしかない。
社長は憧れの職業だと云うが、大きくなるほどその管理運営には神経を使い、心身ともに疲れきることがある。皆の反感や憎しみ、不満の行きつく先が社長になり、それをすべて受け入れなければ案件はうまくいかない。会社が大きくなるほど、ひとつの案件を皆に説明して納得していただくことが難しくなる。
僕の知っている社長様は、社員とのあつれきに体調を壊して緊急入院して一命をとりとめた。死なないでという家族の説得もあり、自社を売却して社長業を降りられた。別の社長様は、自社の赤字経営に苦しみ、倉庫でひとり首をくくって自殺した。また別の社長様は、鬱になり自室から出られなくなった。