その時、評価されないのが本当のカッコ良さ
赤字を出している店舗に行って、「僕は、この店舗を閉店させないからね」と言えば、そこで働いている従業員は感激して喜ぶだろう。しかし、そう話す幹部社員は、ただ頑張ってくれと言うだけで支援は他人任せであり、赤字の責任は取ろうとしない。社長以外は、こうした無責任な行動は平気。
非上場企業の社長は、そんなことをすれば自腹を切って赤字を埋め合わせなければならない。自分の家を売り、家族の生命保険を解約し、自分の給与は取れないし、銀行に行って自分の個人保証で借金しなければならない。しかし、幹部社員は役員といえどもそんな責任はない。赤字の店舗に行って先頭に立って黒字にする気もない。
赤字店舗をどうするのかと幹部社員に聞くと、ほとんどの場合、「何とか残してください」と言うだけで、そう言った本人が、その店舗に行って住み込みで働いて黒字にしますと言い切ることはない。そのため、1年以上赤字を出し続けて従業員が昇給できない状態になってしまうが、残してくださいと言った幹部社員はその責任を感じてはいない。
赤字店舗の再生は自分の足で歩き、お客様に会い、街の人々に会い、市場を自分の足で知り、閉店か継続かを考え、継続であれば、その店舗の再生計画をみずからたてて、自分自身が住み込んで黒字にできるかどうかをやってみるだろう。それぐらいの気合がなければ、赤字店舗を残すことはしない。管理職にある者は、それぐらいことは本来覚悟すべきだろう。
本当に素晴らしい店長は、自店の赤字が埋められないと判断すれば、「閉店してください」と報告する。そこで働く従業員から憎まれるのも恐れず、残してくださいと言ってくれた幹部社員からヤル気がないのかと叱られても、自分の能力の限界を見極めている。それがこの会社やそこで働く従業員を残すことにつながると信じている。