スーパーの生鮮野菜は売れない
農家の方が必死になって働いても儲からない。少しでも儲けるために、農薬を撒き、化学肥料を入れ、農協の指導の下に頑張って働くからこそ、貧乏でも生活できると我慢している農家の方が多くいる。とても子供たちには後を継げ!なんて言えない状態にどうしようもないと嘆いている。
市場に出せる作物は、企画が厳格で少しでも虫食いがあれば出せないし、表皮に傷があれば、形が悪ければ市場に出すこともできない。市場に出せない作物は畑に捨てるか、家族で食べるしかない。漬物にしたり、乾燥野菜にしたり、加工食品にしたり、皆が必死になって捨てないようにと食べ続けていた。
スーパーが大きくなり、直接買い付けにやってくるようになったが、形や大きさなど厳格な規格品が欲しいことに変わりはなかったし、先に価格と納品する量が決められ、災害に見舞われると損を覚悟で補てんしなければならない。美味しさを求めるのではなく、形や大きさを追い求める農家が日本では必要。
産直市場は、こうした現状を打破する力を秘めている。農家が自分で価格を決めて持ち寄り、棚に乗せて地元の方に販売するやり方は、地元の農家に日々の現金収入をもたらしてくれた。中間マージンがない分、安く野菜を販売することができるし、色や形や大きさがバラバラでも美味しく新鮮な野菜であれば買ってもらえることがわかった。
海外産の野菜ではなく低農薬で安心して食べられる国内産の野菜が安く食べられると遠くからでも買いにくるお客様が増えてきた。バスでやってくる方もいるようになり、農家の方にも笑顔が増えてきた。産直市場が賑わうようになると、スーパーの生鮮野菜は売れなくなっていった。
大手のスーパーになるほど、背広を着た本社のバイヤーが一括して大量仕入れするので、店舗に並ぶとき新鮮とは言い難く、一等地に大規模店舗を構えているので販売コストが増え、地元の新鮮野菜を同じ鮮度、同じ値段で販売することができない。鮮魚も同じように専門店におされていく。